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口述試験 [弁理士試験]

弁理士試験というものを受けていたため、ブログ更新が滞っていました。とりあえず、今回は口述試験当日の様子を振り返ります。

2014年10月某日 口述試験@ザ・プリンスパークタワー東京

受付開始時間の1時間位前に着いたと思う。既に受験生と思しき人もおり、当の本人たちは知ってか知らずかその場の緊張感を高めるのに一役買っている。そんな雰囲気に息が詰まり、とりあえず落ち着ける場所を探そうと思い、一旦ホテルを後にする。ホテルに隣接する公園のベンチに座り、口述オールインワンテキストをペラペラとめくって試験直前の最終チェックをする。とはいっても、こんなものは気休めにすぎない。いくら頭に叩き込もうとしたところで、もはや何も頭に入ってくる気がしない。

ふとテキストから目をあげると、ブロンドの髪の女の子が無邪気に遊んでいる姿があった。癒される…。

そろそろ受付開始時間になったので、ホテルに戻る。受付には既に多くの受験生が並んでいて、受付を済ませた人から順に控室として割り当てられた6,7階の客室へと向かう。ちなみに、受付に際しては、受験票を提示したりする必要はなく、単に自分の名字を言っただけだったと思う。名札が渡され、軽く説明がなされた後、誘導員の誘導に従ってエレベータに乗り込む。誘導員が「煙草、トイレ等大丈夫ですか~?」と叫んでいる。うん、大丈夫。煙草は5年前に止めたし、トイレも済ませた。

エレベータに乗り込み、7階で降りると、誘導員が控室まで案内してくれる。ああ、いよいよ口述試験が始まる。緊張感が高まる。

控室には、16人の受験生用の席が設けられていた。名札に記載された番号が書いてある席に座る。私の場合は、最前列の右から3番目。ここから順次2人ずつ呼び出され、それぞれの口述試験が行われる部屋へと向かうことになる。係の人から諸注意の説明があった後、すぐに自分の右側の最初の2人が呼び出されて部屋を後にする。いよいよ口述試験3日目の始まりである。そして数分してすぐに自分の番となった。ああ、2番目でよかった!この状況下で最後まで待つ精神力な残念ながら持ち合わせていない。控室では自由に条文集や参考書等を読むことはできるが、どうせ頭になんか入ってこないし、ここまできたら、さっさと終わってしまった方がいい!

控室を後にしつつ、スーツの前のボタンを留めながら、特許・実用新案法の試験が行われる客室の前に用意された椅子に座る。まだ前の人が試験をやっている。緊張感はMAX。今までに覚えてきたことの全てが真っ白になって消え入ってしまうような感覚。係の人が、客室のベルを3回押した。口述試験では、客室内で試験をしている人達に経過時間を知らせるため客室のベルを使用する。5,6分で1回目のベルが鳴らされ、8,9分で2回目のベル。3回目のベルが鳴ったらもう終わりにしてね、という感じである。ほどなくして、客室から受験生が出てきた。どんな様子だったか顔色を見てみるか?いやいや、やめておこう。

すぐに係の人の誘導で、客室に案内される。ノックをしたりする必要はなく、係の人が仲間で案内してくれる。鞄をクローゼットにしまった後、試験委員と対面することになる。試験委員は、主査が女性、副査が男性。カーテンは開けられているため、部屋の中は明るい。試験委員から後光が差しているようにも思える。

「ぶるーです。よろしくお願いします。」
「どうぞ、お掛けください。」
「失礼します。」

腰を下ろすとすぐに試験開始。

「特許・実用新案法では、特許を受ける権利についてお訊きします。特許を受ける権利は原始的に誰に帰属しますか?」
「はい。発明者に帰属します。」
「そうですね。」

という感じで進んでいったのだが、しばらくして、というか、すぐにもハマる時間が訪れる。

「お手元のパネル①をめくってください。(中略)丙は甲に対し74条1項に規定する移転請求をすることができますか?」
「いいえ、できません。」
「何故ですか?」
「二重譲渡しているため、甲の出願が第三者対抗要件となるからです。」
「74条1項に沿って答えて下さい。」
「はい、えーっと…冒認出願だからです。」
「冒認出願ですか?」
「あ…、共同出願違反だからです…。」
「え?共同出願違反ですか?」
「…。すみません。条文を確認させてください。」
「どうぞ。」

もう、頭の中は真っ白である。この後、条文の確認をさらに2回ほどする。だがしかし、何度見てもいつもの74条1項なのである。そして、もうダメだと諦めかけた瞬間に閃く!
「あ、甲の特許出願は、冒認出願でも共同出願違反でもないからです。」
「はい、そうですね。」

後からみればなんてことない問題にも関わらず、緊張していると正常に判断できなくなるのが口述試験の怖いところだ。

その後はおそらく何事もなく最後の問題まで進みなんとか終了。総括質問はされなかったものの最後の問題まで辿りつけたと思う。
ベルは3回鳴らされた。ギリギリセーフか?少なくとも、自分のことを落とそうとしている試験委員ではなかったと思う。

*****

特許・実用新案法の部屋を出て、次に、隣の意匠法の部屋の前に用意された椅子に座る。もう既に喉はカラカラである。係の人の許可を受け、ペットボトルのお茶を口に含む。そしてすぐに意匠法の試験の行われる客室へ案内される。試験委員は、主査が女性、副査が男性。

「ぶるーです。よろしくお願いします。」
「どうぞ、お掛けください。」
「失礼します。」

そんな感じで進んでいったのだが、意匠法でもハマる時間が訪れる。知らない趣旨について訊かれてしまった。なんとなく、「それは、酷だからです。」と答えてみたものの試験委員の求める答えではなかったようだ。ここでかなり時間を費やしてしまう。

「この質問は飛ばして、先に他の質問をします。」

試験委員のありがたい配慮により他の質問を先にしてくれることになった。でも、頭の中では「どうせ、さっきの質問、また後でされるんだよね…。それが答えられなきゃ終わりだよね…。」と鬱ループ。そして、他の全ての問題が終わった後、とうとうその時間がやってきた。

「それでは最後に、先ほどの質問に戻ります。」

知らない趣旨…。でも何か答えないと、このまま終わってしまう。うーーー、何か答えないと…。と思っているときに無常にも3回目のベルが鳴らされた。ああ、ここまで頑張ったけどもうダメだ、万事休す、と思った瞬間、神が降臨してきたのだ!

「濫用だから?」
「ちゃんと答えてください。」
「はい、権利の濫用を抑止するためです!(きっぱり!)」
「そうですね!!意匠法は以上です。お疲れさまでした。」
「ありがとうございました。」

うわー、きたー、よかったぁ~。自分だけでなく、試験官もほっと肩を撫で下ろしているように思える。先ほどまでの場の緊張感が一気に溶解してゆく雰囲気。本当に安堵感でいっぱいでふらつきながら部屋を後にしようとした矢先、試験官に注意される。
「あの、鞄も忘れずに…。」
「あ、はい、失礼しました。」

答えられない問題を後回しにするという試験官の配慮及びタイムリーな神の降臨により、なんとかギリギリセーフで終了したと思われる。

*****

意匠法の部屋を出て、隣の商標法の部屋の前に用意された椅子に座る。ここでも、係の人の許可を受け、ペットボトルのお茶を口に含む。そしてすぐに客室に案内される。試験委員は、主査、副査ともに男性。

「ぶるーです。よろしくお願いします。」
「どうぞ、お掛けください。」
「失礼します。」
「商標法では、登録異議の申立てについてお訊きします。」

きたーー!ヤマが当たった!この辺りがくるんじゃないかと予想していた。予想的中!かなり順調にサクサクと答えることができたのだが、最後の問題にきてハマる。

マドプロの問題だ。前日の試験でマドプロが出題されていたので、今日はもう出ないだろうと思って、昨日の勉強から除外した範囲だった。うう、条文を確認したい・・・。でも、条文番号がわからない。多分あの辺ってことはわかるが、下手に条文集を参照したら、却って危機的な状況になってしまうと思った。そこで、とりあえず自分の頭の中にあるあやふやな知識で、それっぽいことを答えてみる。どの程度あやふやだったかというと、随分前に論文の答練かなにかで一回出てきたことがあるなー、という位の霧の向こうに遠く霞んだ知識。ここで、さらにこれ以上突っ込まれたら終わりだ・・・。

試験委員が、私の回答に対して、多少の軌道修正をするような助け舟を出してくれて、2,3のやりとりがあった後、

「はい、商標法は以上です。お疲れさまでした。」

とあっさりと終了。まだベルは1度もなってない。

*****

商標法の試験が終わった後、別の控室に案内される。午前中の試験の場合には、試験を受け終わった受験生は、午後に試験を受ける受験生との接触を避けるために、ここにかなり長い間缶詰にされる。私の場合は、試験開始までの時間が短かった分、試験後に缶詰にされる時間も長いのだ。

隣の席の人はひたすら瞑想にふけっている。口述試験が一応終わったというのに、条文集を読んでいる人もいる。またある人は、試験の再現答案を作成している。私はといえば、まさにこの時間を潰すために鞄の中に忍び込ませてきた「かもめのジョナサン完成版」を読みふけっていた。本の至るところに挿入されたかもめの写真のかもめと自分の姿とを重ね合わせてしまう。

かもめのジョナサン完成版

かもめのジョナサン完成版

  • 作者: リチャード バック
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2014/06/30
  • メディア: 単行本




本を一冊読み終えて、2周目を読み始めて暫く経ったころ、女性が係の人にトイレに行きたいと申し出た。

トイレは、金属探知機で全身をチェックされた後、客室内のトイレを使用することができる。だがしかし、控室はしんと静まり返っているのである。それまでに何人かの男性がトイレを利用していたが、何ともいい感じで部屋に響き渡るのだ。「じょぼじょぼじょぼじょぼ・・・」

今度は女性か…。何があっても音を聞いちゃだめだ、聞いちゃだめだと心に誓う。それが礼儀だ。モラルだ。エチケットだ。しかし、そう思えば思うほど、聴き耳を立ててしまう。とはいえ、耳には蓋をできないのだ。かといって、両手で耳を塞げば、周囲に対して、逆に過剰に意識してしまっていることが明らかになり、却って誤解を招いてしまうことにもなりかねない。

どうしよう・・・。

と思っている矢先に、係の人が、「はい、それではお待たせしました。退室できる時間となりましたので、準備をして暫くお待ちください…。」とアナウンス。よかった~。「音」を聞かずに済んだ。そして、暫く待機後、控室をあとにした。(※なお、女性の方は、係の人に別の客室のトイレを使用したい旨申し出ることもできるようです。)


ここでようやく解放感を感じる。

終わったーーーーーー!!!!!なにはともあれ終わったーーーーーー!!!!!
痛みに耐えてよく頑張った!!! 感動した!!! お疲れーーーーー自分ーーーー!!!!!


次の日、職場の同僚の女性の弁理士に報告する。

「たぶん、評価は、特実がB、意匠がB、商標がAの、BBAだと思う。」
「あら。随分と嫌な響きね。それだったら不合格だわ。」



タグ:弁理士試験
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